第32章 ガールズトーク
「い、いや、あのブラシの送り主からの名前はなかったし…」
「でも、あなたは誰が送り主かわかってたわ。それに、あんな高級そうなブラシを贈れるのなんて、限られた人物だと思ってたの」
「ふぅん、マルフォイがねぇ」と、ハーマイオニーはミラの髪の毛を見て呟いた。あのブラシのおかげで、ミラは時々ブラッシングするようになった。それまではハーマイオニーが甲斐甲斐しく自分のブラシで梳かしていたが、送られてきたブラシには魔法がかけられているのか、ミラの寝癖も一発で直ってしまうのだ。
「ますます気に入らないわ、マルフォイの癖に」
「なんで?」
ミラが首を傾げると、サラサラと綺麗に流れる髪の毛が目に入り、ハーマイオニーはますます対抗心が燃えてきた。
「ブラシを送るなんて、意味をわかっているのかしら?それともミラの魅力をわかっていて送ったとか…やっぱり侮れないわ」
一体なんの話をしているのだろうと、ミラは何故か悔しげにぶつぶつ呟いているハーマイオニーを見て思ったが、触れない方がいいだろうと話しかけなかった。また頭がふわふわしてきた頃、ようやくハーマイオニーが戻ってきた。
「ごめんなさい、いつまでもいすわちゃって」
「いいよ、別に。もうこのまま寝てけば?ハーマイオニーあったかいし」
ミラはゴソゴソと布団に潜ると、ハーマイオニーも布団に潜り始めた。
「ミラ、私…あなたとマルフォイが仲良くなっても、口は出さないわ。あなたの交友関係に口を挟む権利は私にはないもの…二人は嫌がるかもしれないけど」
「ハーマイオニー…」
「誰にも言わないわ。でも、困ったことがあったらいつでも言って欲しいの」
「まだ私がマルフォイと仲良くしたいかどうかわかってないのに…向こうだって私と仲良くしたいなんて、思ってもないよ」
「そうかしら」
「そうだよ…ふあ」
ミラは欠伸をすると、閉じかけていた目を完全に閉じた。ハーマイオニーが一緒に寝ているおかげもあり、布団の中は暖かく、寒くなってきた季節にちょうどいい暖かさだった。
「ありがとう、ハーマイオニー。おやすみ」
「おやすみなさい、ミラ」