第32章 ガールズトーク
次の日は流石に眉間に皺を寄せてはいないものの、ぼんやりと外を見たり、心ここに在らずといった様子のミラに、流石にハリーはおかしいと感じた。
「やっぱりおかしいよ、ミラ」
返事の受け答えはできるが、何か考え事をしているのは明らかだった。
「おかしいのはいつものことだろ」
「そんなことないわ」
「じゃあどうしたっていうんだい?昨日は真剣に作ってたのが、今日はやる気がなさそうに見えるよ」
「ロン、ミラだって女の子なのよ。悩みの一つや二つあるわ」
「悩み?ミラが?」
「何を悩んでるんだろう…僕、聞いてくるよ」
「ダメよ、ハリー!」
悩みを聞こうとするハリーに、ハーマイオニーは慌てて止めに入った。ハーマイオニーの頬は少し赤みが増し、早口でハリーを捲し立てた。
「私が聞くわ、だって私たち女の子同士だから、ミラだって話しやすいと思うの」
「そ、そう?ハーマイオニーがそう言うなら…」
ハリーはハーマイオニーの勢いに負け、渋々うなずいて見せた。ハーマイオニーはホッとしたものの、ハリーやロンたちにこれ以上怪しまれることはまずいと感じていた。何より悩んでいる内容が二人に分かれば、ミラが気まずくなるには明らかだ。結局二人きりで話すのに、すっかり夜になってからだった。
女子部屋で同室の同級生たちが眠る中、ハーマイオニーは自身のベッドからミラに声をかけた。
「ミラ、まだ起きてる?」
「…半分起きてる」
少し眠そうなミラの声が返ってくると、ハーマイオニーはベッドから抜け出してミラのベッドへ向かった。他の同級生が起きていないかしっかり確認すると、カーテンをソッと開いてミラを伺った。
「…マルフォイのこと、まだ悩んでいるの?」
「だって、ハーマイオニーに言われるまで考えたことなかったから」
少し困ったような、苦笑いしているミラに、ハーマイオニーは申し訳ない気持ちになった。