第32章 ガールズトーク
突然大きな声を上げたハーマイオニーに、ミラはびっくりしてかき混ぜていた手を止めてハーマイオニーを見た。
「私には、あなたがマルフォイと仲良くしたそうに聞こえるわ」
「…私が?どうして?」
ショックを受けた顔をしたミラは、咄嗟にハーマイオニーに尋ねた。
「どうしてって…」と、ハーマイオニーも困ったように眉を下げた。
そこへ、トイレの扉が開く音が聞こえて二人は口を閉じた。足音は迷いなく二人の元へ向かうと、「僕だよ」、とロンの声がした。二人はホッと息を吐くと、図書館帰りのロンを迎え入れた。
「早かったわね」
「まぁね、僕もやればできるさ」
ロンは得意げな顔を見せると、カバンを肩から降ろした。ミラとハーマイオニーは、それ以上マルフォイについて話すことはなかった。ミラの頭の中は、ハーマイオニーに言われたことばかりがぐるぐるとポリジュース薬を煮込んでいる鍋の中身のようだった。
(私は、ドラコと仲良くなりたいのか?)
黙ってポリジュース薬を混ぜていると、ロンがハーマイオニーにこっそり耳打ちした。
「ミラのやつ、なんであんなおっかない顔して作ってるんだ?」
「こ、この薬は繊細なの!ミラだって真剣になるわ」
「珍しいこともあるんだなぁ」
ロンが簡単に信じてくれたことに、ハーマイオニーは内心安心したものの、自分の発言にショックを受けて考え込んでいるミラを心配そうに見つめた。
それは夕食の時間も変わらず、大広間に並べられたローストチキンを、眉間を寄せて睨みつけていた。
「ミラは…機嫌が悪いの?」
クィディッチの練習でクタクタに疲れたハリーが気まずそうに、こっそりハーマイオニーに聞いた。
「ずっと薬を煮込んでくれたから、きっと疲れてるのよ」
「今日一日?」
「えぇ…きっと今度の材料取りが待ちきれないんだと思うわ、もうすぐ必要になってくるから」
「そう、なんだ…」
疲れのせいもあり、ハリーはハーマイオニーの言うことを信じた。