第32章 ガールズトーク
「ハリーたちがクィディッチの練習をしていたときね」
「うん…あの時もマルフォイはみんなに酷い事を言ってたのはわかってる。グリフィンドールのチームはお金じゃなくて、才能で選ばれたって言った時はスッキリしたよ」
確かにマルフォイは酷い事を言った。古い箒を慈善事業の競売にかけれ博物館が買い入れるだろうと、いくらスリザリンチームが凄い箒を手に入れて自慢したくても、言うべきではなかった。
「多分お金の力でチームに入ったって、一番気にしてたのはマルフォイだったと思う…みんなの前で言われて、言っちゃいけない事も言ったんだと思う。だからって、ハーマイオニーにあんな酷い事を言ったのは許せないけど、あの時、私たちにも非があったんだって思って」
特に自分は暴力を振るってしまったと、ミラは少しだけ後悔した。カッとなって手を出すのは悪い癖だと分かり、それは自分にしている孤児院の院長と変わらない事だと気が付いた。
「マルフォイのこと、許してあげてほしいってわけじゃないんだ----酷いことを言ったのはお互い様だけど…どっちも謝るべきだと、私は思う…」
ついに言ってしまったと、ミラは冷静を装って鍋をかき混ぜ続けた。次にハーマイオニーが何を言うか、ミラは全く予想がつかず、手の先が冷えていくような感覚がした。
「ミラ…もしかして、ずっとそのことで悩んでたの?」
「別に悩んでなんて--」
「嘘よ、先月くらいから何か言いたそうな顔してたわ」
「そんなわかりやすい顔してた?」
「どうかしら…ハリーとロンは気がついてなかったと思うけど」
「ハリーならともかく、ロンにまでバレたらもうおしまいだよ」
フッ、とミラは笑みをこぼした。
「もうマルフォイには話したの?」
どこかハーマイオニーはわかっているような尋ね方だった。
「うん、少し前に。殴ったことも謝ったよ。でもアイツはハーマイオニーが直接謝らないなら、なんの意味もないって言われたけど」
「ミラ、自分が何をしてるかわかってる?」
「勝手なことして悪いと思ってるさ。でも---」
「違うわ!」