第32章 ガールズトーク
ミラとドラコの関係は、側から見れば異様なのは明らかだった。去年の魔法薬の授業では、二人一組で作るものはほとんど一緒にやっていた。それが相手の懐の探り合いという、一年生にしては可愛くないやりとりだ。ミラに至ってはスネイプの嫌味避けにちょうどいいと思っていたし、ドラコはハリーの弱みになるものを探ろうとしていた。
今年に入ってからはミラとドラコは一度も組んではいないが、時々ミラと魔法薬を作るとき、ミラは手際良く作業をこなすこととをハーマイオニーはよくわかっていた。スネイプ先生が嫌いなだけで、魔法薬は得意な科目な方だということも。
「もちろん、ポリジュース薬はいいアイディアだし、スネイプから薬をくすねることだって楽しみにしてる。だけど…」
「『継承者』がマルフォイであってほしくないのね」
「…うん」
「もし----もしもの話よ」
ハーマイオニーは慎重になって話した。
「マルフォイが『継承者』だったら----ミラはどうするの?」
ピタリ、とミラは鍋をかき混ぜていた手を止めた。
「…らしくないけど、そんなのかっこ悪いから辞めたらって言うかな----でも、ハーマイオニーを狙うなら容赦しない。『継承者』がマルフォイでも、私は全力で戦うつもりだ」
「ミラ…」
ミラのアメジストの目ははっきりとハーマイオニーを見ていた。その真っ直ぐな視線に、ハーマイオニーの頬が少しピンク色に染まった。ハッとハーマイオニーは気が付くと、ミラは止めていた手を既に動かしていた。
「嫌なら参加しなくてもいいのよ…」
「うーん、でもせっかくスリザリン寮に忍び込めるチャンスを逃したくないというか」
「そう言うと思ったわ」
ハーマイオニーはわかっていたと、呆れたような顔をした。
「ハーマイオニー、マルフォイが酷いことを言った時なだけど」と、ミラは鍋を中身を見ながら話し出した。