第31章 狂ったブラッジャー
「私はなんの意味もなく人を応援なんてしない。アンタがクィディッチの選手になりたかったのも知ってたし、去年森で一人練習してたのも知ってる!だから言ったんだ、バカ!」
ミラはつかんでいた手を離すと、ドラコに背を向けて歩き出した。
「おい!」
ドラコは慌ててミラを追いかけた。
「なんでお前が怒るんだ」
「怒ってない」
「いや、怒ってるだろ」と、ドラコは呆れながらミラに言った。ミラは足を止めて、むっすりした顔でドラコを見た。どう見ても怒っていますという顔をしていた。
「どうして僕に声をかけた。お前たち、グリフィンドールは今頃宴でもしているだろ」
「----ブラッジャーのこと」
ミラはジッとドラコの目を見ながら話し出した。
「ドラコがブラッジャーの仕掛けをしたんじゃないかって言われてる」
ドラコは目を見開いたが、すぐに呆れた顔をした。
「ポッターを狙ったやつか…疑ってるのか、お前も」
「そういうことをやりかねないって疑われてるアンタにつくづく呆れてるけど、あんなこと、ドラコはしない」
ミラは目を逸らさず、ドラコを見つめ続けた。
「私だったら、回りくどいことしないで、ハリーの目の前でスニッチを奪いたいって考える。だってそっちの方がハリーも悔しがると思うし」
「お前…仮にもグリフィンドールだろ。どうしてスリザリンの僕にそれを言うんだ?」
「それは…」
ミラは言葉に詰まった。ドラコの言うとおり、自分たちは敵対している寮同士。わざわざ敵のチームを励ます通りなどないはずなのに、ミラは何故かドラコを放っておけなかった。学校の裏庭に呼び出した時のように、ミラはまた何かが喉の奥に引っかかっているような気分になった。
ハリーにも負けてほしくない気持ちは確かにある。もちろん、今回の試合もハリーが勝って嬉しい。でも医務室でドラコがブラッジャーに細工をしたのでは言われた時、無性に腹立たしかった。
「とにかく、次の試合でまたハリーのことストーカーしたら、今度はドラコの箒を粉々にするから」
「洒落にならないな」