第31章 狂ったブラッジャー
「君もアイツに能無しにされる前に、フレッドとジョージがここに連れてきてくれたってわけさ」
「二人は命の恩人だな」
ミラは心底双子に感謝した。どんなことがあっても、ロックハート先生には助けられたくないとミラは常日頃から思っていたのだ。
そこへ、マダム・ポンフリーが『スケレ・グロ(骨生え薬)』とラベルに貼ってある大きな瓶を手にしてやってきた。
「今夜は辛いですよ----あら、目を覚ましたのですね、ミス・ミラ。目を覚ましたら、マクゴナガル先生の部屋へ行くように」
「…はい」
なんとなく、ミラは嫌な予感がした。マダム・ポンフリーが容器に骨生え薬を入れ、ハリーにそれを渡した。ハリーは一口飲んだだけで咳き込んだり、咽せたりして大変そうに見え、三人は苦い顔をしてハリーを見守った。
全部飲み切ると、マダム・ポンフリーは出て行った。ロンとハーマイオニーがハリーの水を飲むのを手伝っている間、ミラは脱がされていた濡れた靴を履いた。
「それにしても、今回もものすごい捕まえ方だったな、ハリー。あの時のマルフォイの顔----殺してやる!って顔だったな」
「あのブラッジャーに、マルフォイがどうやって仕掛けをしたのか知りたいわ」
険悪な顔をしたハーマイオニーが言った。
「そこまでするような奴じゃない」
ハリー、ロン、ハーマイオニーは、唸ったミラをびっくりした目で見た。
「確かに卑怯な奴だけど、クィディッチの試合にブラッジャーに細工までして勝ちたいって思うとは思えない」
「随分マルフォイの肩を持つんだね」
ハリーが刺すような声でミラに言い返した。
「別に肩を持ちたいわけじゃ…」
「でも、アイツならやりかねないぜ」
「じゃあ、今度のポリジュース薬の質問リストに加えよう」
ハリーは投げやりに言うと、ベッドに横になった。ミラもムッと顔を曇らせた。