第31章 狂ったブラッジャー
目が覚めると、医務室に寝かされていることに気が付いた。上体を起こすと、すぐ近くに三人の声が聞こえ、ミラはカーテンを開けた。
「ミラ!」
ハーマイオニーが飛びついてきた。まさか飛びかかられると思わなかったミラは、ベッドに逆戻りしてしまった。
「あなた、また無茶をして!心配したのよ!」
「あー…ごめん」
ミラは反射的に謝った。向かいのカーテンが開くと、パジャマに着替えたハリーと、ロンと目が合った。
「ミラ、また気を失ったって」
「うん、そうみたい」
「そうみたいって…君、覚えてないのかい?」
やっとハーマイオニーが離れると、ミラは気を失う前のことを思い出そうとしたが、どこか曖昧で、頭に手を当てた。
「あれ、どうやったんだ?どんな魔法でブラッジャーを止めたんだ?杖も向けてなかったみたいだけど」
「…わからない…早くハリーのところに行かなきゃって思ってて、止まれーってブラッジャーのことばっかり考えてたけど…」
そういえば、どうやってあのブラッジャーを止めたのだろうと、ミラは不思議に思った。確かにブラッジャーを空中で留める魔法を使ったような記憶がない。粉々にしたのは覚えているが、そのあとは全く記憶にない。
四人は黙り込んだ。
「そういえば、ハリー、骨折程度で医務室に泊まるの?」
ミラは話題を逸らそうと、パジャマ姿のハリーに声をかけた。
「骨折だけなら良かったんだけどね」
「見ろよ、ロックハートの奴がハリーの腕を骨抜きにしたんだぜ」
ロンは骨のないハリーの腕を掴んで左右に振ると、腕はとてつもない方向に折れてミラは言葉を無くした。