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【HP】怪鳥の子

第1章 居候と孤児【賢者の石編】



 なんとか9時までに学校に着くと、周りはすでにスペルの練習や予習復習をしていて、少女がクラスに来たと分かるとすぐに顔を教科書に戻した。一番後ろの窓側の席が少女の席だった。席に着くとすぐに担任の教師が来て、出席を取り始めた。


・・・・・


 いくつかの授業が終わり昼休み時間になると、廊下が慌ただしい音で響いた。「あっちに行ったぞ!」「捕まえろ!」とうるさい声に、少女は席を立って廊下に出た。それを見たクラスメイトたちが関わるな!と言うように顔を背け、見ないふりをした。

 廊下に出ると、クシャクシャな黒い髪を振り回しながら必死に逃げる眼鏡の少年の姿を捉えた。少年は真っ直ぐこっちに走り、少女の姿を捉えるとホッとした様な顔をした。が、そのすぐ後ろにいた、その少年より大きな少年が首元の服を掴み上げたせいで、眼鏡の少年は派手に後ろに転倒した。
 それが面白かったのか、大きな少年とその後ろにいた男の子たちもゲラゲラと笑い、眼鏡の少年はジタバタともがいていた。

「何が面白いのか教えてくれないか、ダーズリー?」

 少女はその少年たちに声をかけると、下品に笑っていた声はピタリとやみ、ダーズリーと呼ばれたでっぷりとした大柄の少年、ダドリーは引き攣った顔をした。

「お、お、お前には関係ない!」

 ダドリーは恐々と少女を見ると、眉間に皺を寄せた少女の顔を見て、眼鏡の少年をつかでいた手を離してしまった。少女はダドリーに歩み寄ると、ダドリーは「ヒィッ」とまるで豚が泣いているような声をあげて後ずさると、後ろにいた仲間たちも次々と走って逃げていった。ダドリーも例に漏れず、来た道をできる限りの速さで戻っていった。まだ床に座りこでいる少年に、少女は手を差し出した。

「見た、ハリー?あの豚が逃げてったところ」
「ありがとう、ミラ…また助けられた」
「困ったらお互い様、さぁ昼食を食べに行こう」
「そうだね」

二人は並び、学校の食堂へと向かった。
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