第1章 居候と孤児【賢者の石編】
ミラ・グローヴァー、それが少女の名前だ。ミラはこの学校で有名人だった。悪い意味でのだ。この学校で今一番喧嘩が強いといえば、体の大きなダドリーだと思われるかもしれないが、そのダドリーでも細い体をしたミラには一度も勝ったことがなかった。
昔一度だけ、顔面に酷いパンチを一度お見舞いしてから、ダドリーはミラを見るだけで震え上がり、近づけばすぐに逃げ出すほどだった。毎日ダドリー軍団にいじめられているハリーだが、ミラはどこからともなく現れ、ハリーを助けていた。
ハリー・ポッターもまた別の意味で有名だった。ハリーは特徴的な稲妻の傷が額にあり、いつもサイズの合わないダボダボの服を着用し、メガネはあちこちセロハンテープまみれだった。毎日ダドリー軍団にいじめられるが、ダドリーがミラのことを怖がっているのを知っていた。
二人は友達だった。この学校に通い出してから二人はすぐに仲良くなり、そしてかけがえのない親友でもあった。ミラはハリーの境遇が自分に似ており、ハリーもミラの話を聞いてすぐに意気投合した。
家と孤児院以外では、学校と公園で一緒にいることも多かった。お互い住まいに呼んだことはないが、言わなくてもそれが不可能だということは二人はわかっていた。
そしてもう一つ、二人には共通したものがあった。どう説明したら良いかわらないが、時々自分の周りで不思議な現象が起こるということだった。
ハリーは髪を酷く切られた時、次の日には元通りだったこと。ミラはミス・メアリーに酷く腹を立てた時、孤児院中の電球が全て割れたことだったり。周りでは起きないことが自分たちの周りではあり、ミラとハリーはが仲良くなるのはそう遅くはなかった。
学校が終わり、いつもの公園に着くと二人でベンチに腰掛けた。
「あのゴリラババァ、今日はベーコンが少し焦げてたからって嫌味がすごかった」
「僕のところもそう変わらないよ…それに今度、あいつの誕生日だ」
ハリーは肩を落としてつぶやいた。
「御愁傷様…また隣の家に預けられるの?」
「うん、多分…」
ミラはハリーの背中を優しく撫でると、ハリーは苦笑いした。