第30章 名前のない関係
パーキンソンが一枚選ぶと、僕も一枚手に取った。母上は相変わらず、僕の好きな味にものを送ってくださる。この学校では絶対に食べれない味に、イライラしていた気持ちも収まっていく。
何枚か食べたあと、クラッブとゴイルが物欲しそうな目をしていたから、残りを全てくれてやった。
次の魔法史の授業で、僕はこっそり先程の手紙を開けた。中にはカードが一枚だけで、たった一言、『今日の放課後、時間があったら裏庭に来て』とだけ書かれていた。カードの下の隅にイニシャルを見て、僕はやっと誰の字かわかった。
なんで今更こんなものを…何か企んでるのか?喧嘩をふっかけてくるような奴じゃないが、ポッターや仲間に何かあれば、飛びかかってくる奴だ----あの猫が石になった日も、フィルチの前に飛び出して、フィルチを殴り飛ばしてやるような目をしていた…顔に血がついてたが、誰かと喧嘩してたのか?
その血のせいで、グローヴァーも『継承者』じゃないかと噂されているが----何にしろ、今更僕になんのようだ?僕の父上を侮辱した奴に会う必要などない。
・・・・・
馬鹿馬鹿しい----と、思いながら、全ての授業が終わると、僕の足は裏庭に向かっていた。
(悪戯ならスネイプ先生に言付けて罰則を喰らわしてやるまでだ)
クラッブとゴイルに先に談話室に戻るように言ったが、一人で来いとは書かれていなかったと言うのに、僕は何をやっているんだ…。
イライラしながら裏庭に向かい、学校の壁に隠れて様子を伺うと、日当たりのいい芝生の上に座っているグローヴァーがいた。本を読んでいるせいか、僕には気が付いていないようだが…いや、気付かれなくていいんだ。
様子を少し見ていたが、ポッターや他の連中はいないらしい。
(せいぜい待っているんだな)
僕はスリザリン寮を目指し、来た道を戻った。