第30章 名前のない関係
それは、言葉には出てこなかったし、今でもそれはわからないままだ。でも、今日の呼び出しに来てくれた。それは事実だ。ドラコが何を思ってきてくれたかもわからない。もしかしたら気まぐれかもしれない。ただの妄想かもしれないが、ドラコは自分の謝罪を受け入れてくれたような気がした。
『わからない。でも今回は私が素直になるべきだって思っただけ』
そう書き殴ると、ミラは日記を閉じた。これ以上トムにあれこれ言われるのが面倒に思ったミラは、日記を抱えて部屋に戻った。その途中、無意識にデコピンされた額を触ったが、もう痛みはない。自分は力一杯鼻を殴ったというのに、嫌味の一つや二つ言われると覚悟もしていた----。
何故だか自然と口角が上がっていた。
きっと今日はいい眠りにつける、そんな気がした。