第29章 継承者
「それでは考えてみましょう。我々の知ってる人の中で、マグル生まれは屑だ、と思ってる人物は誰でしょう?」
と、ロンはわざと頭を捻って見えるような動きをした。ハーマイオニーは、まさか、という顔をした。
「もしかして、あなた、マルフォイのこと言ってるの?」
「もちろん、その通り!」
ロンは自身ありげに話し出した。
「聞いただろ、アイツが『次はお前たちぞ、汚れた血め!』って。しっかりしろよ。アイツの腐ったネズミ顔をみただけで、アイツだって分かりそうなもんだろ」
「だからって、マルフォイがスリザリンの継承者に繋げるのは無理矢理すぎないか?」
ミラは疑わしい顔をすると、ハーマイオニーも同じような顔で頷いた。
「アイツの家族を見るんだ」と、ハリーも教科書を閉じた。
「アイツの家族は全員スリザリン出身だ。それを、アイツはいつも自慢してる。アイツなら、スリザリンの末裔だっておかしくない。アイツの父親も、どこから見ても邪悪だよ」
「アイツなら、何世紀も『秘密の部屋』の鍵を預かってたかもしれなぜ。親から子へ代々伝えて----」
「だからって、決めつけるのはよくない…もし違ったらどうするんだ?」
「でも、ハリーとロンの言うことも一理あるわ…その可能性も否定できないもの」
ミラは押し黙った。確かに、ドラコにはその可能性があると、ミラもわかっていたが、継承者がドラコでなければいいと、心のどこかで思っていた。黙っているミラを、ハリーはジッと見つめた。またマルフォイのことを考えているのだろうかと、昼食でのことを思い出した。
「----でも、どうやって証明する?」
「方法がないことはないわ」
ハーマイオニーは部屋の向こうにいるパーシーを盗み見て、さらに声を落としながら言った。
「もちろん、難しいし、それに、とっても危険だわ。学校の規則をざっと五十は破ることになるわね」
ミラ、ハリー、ロンは顔を見合わせた。
「私たちがスリザリンの談話室に入り込んで、マルフォイに正体を気付かれずに、いくつかの質問をすることなのよ」
「不可能だよ」と、ハリーが言った。
「いいえ、そんなことないわ。『ポリジュース薬』が少し必要なだけよ」
「ハーマイオニー、あれはかなり危険な魔法薬だってスネイプが言ってたやつじゃん」