第29章 継承者
「いいかい。僕たちはあの猫に指一本触れてないんだぞ!」
「僕もジニーにそう言ってやったよ!だけど、あの子は、それでも君阿知賀退学処分になる思ってる。あんなに心を痛めて、目を泣き腫らしているジニーを見るのは初めてだ」
パーシーも語気を強めて言った。
「少しはあの子のことも考えてやれ。一年生はみんな、この事件で神経をすり減らしているんだ----」
「ジニーのことを心配してるんじゃない。兄さんが心配してるのは、主席になるチャンスを、僕が台無しにすることだろ」
「グリフィンドール、五点減点!」
パーシーは監督生バッジを指で触りながら簡潔に言った。
「これでお前にはいい薬にはなるだろう。探偵ごっこはやめるんだ。さもないと、母さんに手紙を書くぞ!」
そう言って、パーシーは大股で去っていった。
「ロンの家族って、結構言いたい事言い合うよね」
「さっきのパーシーはおばさんにそっくりだったよ」
ミラ、ハリーはロンを宥めるように話しかけた。
「本当に石頭なんだ、あいつ」
もういないパーシーの歩いて行った廊下を、ロンは機嫌悪そうに見て言った。
・・・・・
「ハリー、ちょっといいかな」
寮に着くと、ロンとハーマイオニーを先に部屋に行かせて、ミラはハリーの上着を引っ張って端っこに寄った。
「どうしたの、ミラ?」
「魔法史のあと、様子が変だったから…私たちには言えないこと?」
ハリーは驚いた表情を見せた後、顔を俯かせた。
「はは、バレてたか」
「二人と一緒にするな」
ミラは俯いたハリーの頭に、軽いチョップを落とした。ハリーは声を落として話し出した。
「ごめん、君には言うべきだと思ったんだけど…組分けの時、帽子が僕をスリザリンに入れようとしてたんだ…」
「…なんだ、そんなことか」
ミラは自然に力が入っていた体の力を抜いた。