第29章 継承者
「探索に来た魔女や魔法使いが、スリザリンの何かしらの関係がなくて、部屋が見つからなかったって思わないか?」
ミラは気になっていた事を三人に話した。
「『秘密の部屋』がスリザリンの継承者によってのみ開かれる…考えられるとしたら、彼の血筋か、当時彼の考えに賛同した者が考えられると思うんだけど…スリザリンの家系って今でも続いてたりするのかな?」
「一千年以上前の人物だけど、子孫がいる可能性はあるわ--けど、探し出すのはかなり難しいと思う」
ハーマイオニーは難しい顔をして言った。
「サラザール・スリザリンって狂った変人だって知ってたけどさ、例の純血主義のなんのって、スリザリンが言い出したなんて知らなかったなぁ」
ロンは頭の後ろに腕を組んで話し出した。
「僕ならお金貰ったって、そんなやつの量になんか入るもんか。はっきり言って、組分け帽子がもし僕をスリザリンに入れてたら、僕は列車に飛び乗って真っ直ぐ家に帰ってたな…」
ハーマイオニーも強く頷いた。
「そういえば」、とロンは思い出したように恐々とミラを見た。
「君って…組分け帽子にスリザリンに入れられようとしてなかったっけ」
「ああ、そんなこともあったね」
ミラはどうでも良さそうにサラリと受け流した。
「残念だったね、ロン」
「しっかり根に持ってるじゃないか」
ミラはクスクス笑い、ロンは少し気まずそうにミラから目を逸らした。
『--勇敢だが、君はスリザリンの方がいい。その方が君は楽しく過ごせる、そして何より大事なものが見つかるだろう、それに君の--』
--組分け帽子はあの後、なんて言いたかったのだろうと、ミラは今更ながら少し後悔した。スリザリンに入れようと説得してくる組分け帽子が鬱陶しくて、会話を遮ってしまった。あの後、何を言いたかったのだろう…。
「聞いてなかったけど、なんでグリフィンドールに入ろうと思ったの?」
ロンは不思議そうな顔をしていた。