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【HP】怪鳥の子

第29章 継承者


 「誰だか言わなくてもわかるよ」と、ロンがハリーにこっそり耳打ちした。

「スリザリンは、魔法教育は、純粋な魔法族の家系のみ与えるべきだという信念を持っており、ホグワーツには選別された生徒のみが入学を許されるべきだと考えたのでした。マグルの親を持つ生徒は、学ぶ資格がないと考えて、入学させることを嫌ったのであります。しばらくして、この問題を元に、スリザリンとグリフィンドールが激しく言い争い、スリザリンは学校を去ったのであります」

 ビンズ先生は、また一息入れた。

「信頼できる歴史的資料はここまでしか語ってくれんのであります。しかし、こうした事実が『秘密の部屋』という空想の点説によって、曖昧なものになっておるのです。スリザリンはこの学校を去る前に、他の創設者には全く知られていない、隠された部屋を作ったという話があるのです。その伝説によれば、彼は『秘密の部屋』を密封し、この学校に彼の真の継承者が現れるその時まで、その部屋を開けることができないようにしたということなのです」

 教室は完全にビンズ先生の声だけが聞こえていた。どの生徒も一字一句見逃すまいと、ピン、と耳を立てていた。

「その継承者のみが『秘密の部屋』の封印をとき、その中の恐怖を解き放ち、それを用いてこの学校から魔法を学ぶにふさわしからざる者を追放すると言うことなのです----もちろん、全部、全くの無意味です」

 みんながビンズ先生を見つめ、先生は微かに困惑した様子を見せた。

「当然ながら、そのような部屋の確証を求め、最高の学識ある魔女や魔法使いが、何度もこの学校を探索したのでありますが、そのようなものは存在しなかったのであります。騙されやすい者を怖がらせる作り話であります」
「先生、『部屋の中の恐怖』というのは具体的にどういうことですか?」

 ハーマイオニーがまた手を挙げて質問した。

「なんらかの怪物だと信じられており、スリザリンの継承者のみが操ることができるという----言っておきましょう。そんなものは存在しないのです。以上、おしまいです」

 と、ビンズ先生がノートをめくりながら言いました。ビンズ先生はまた歴史の話に戻ると、ものの五分もしないうちに、クラス全員がいつもの無気力状態に戻っていた。


 授業が終わり、夕食前に寮にカバンを置きに行く生徒で廊下はごった返していた。
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