• テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第29章 継承者


 先生が三十分もノートを読み上げ続けた頃、ハーマイオニーが手を挙げた。ビンズ先生はちょうど、死にそうに退屈な一二八九年の国際魔法戦士条約の講義を読んでいる最中だったが、チラッと目を上げた時、手を挙げているハーマイオニーを驚いて見つめた。

「ミス----あー…?」
「グレンジャーです、先生。『秘密の部屋』について何か教えていただけませんか」

 と、ハーマイオニーははっきりした声で言った。
 突然隣からはっきりと、それも気になっていたことが急に聞こえ、ミラはフワフワしていた睡魔は一気に吹き飛んだ。

 それはミラだけでなく、両腕を枕にしていたハリーやロンは頭を持ち上げ、ネビルの肘は机からガクッと滑り落ちた。

「私がお教えしとるのは魔法史です。事実を教えとるのであり、神話や伝説ではないのであります、ミス・グレンジャー。----コホン、同じ歳の九月、サルジニア魔法つかの小委員会で----ミス・グラント?」

 ビンズ先生はまたハーマイオニーの手が上がっていることに気が付き、講義の話を止めた。

「先生、お願いです。伝説というのは必ず事実に基づいているのではありませんか?」
「ふむ----そうですな、そんなふうにも言えましょう、多分」

 ビンズ先生はハーマイオニーをまじまじと見つめた後、クラス全体から視線を感じたのか、全生徒を見渡した。もう誰も眠そうにビンズ先生の話を聞いていなかった。ビンズ先生も全生徒から、こんなに興味を示されることなど、かつてなかっただろう。完全に孫ついている様子のビンズ先生に、ミラは細く笑んだ。

「あー、よろしい。さて…『秘密の部屋とは』…皆さんも知っての通り、ホグワーツは一千年以上も前--その当時の、最も偉大なる四人の魔女と魔法使いたちによって、創設されたのであります。その創設者達の名前は、ゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリン。彼らは詮索好きなマグルの目から遠く離れたこの地に、ともにこの城を築いたのであります」

 ビンズ先生一息いれ、また続きを話し出した。

「数年の間、創設者達は和気藹々で、魔法力を示した若者達を探し出しては、この城に誘って教育したのであります。しかしながら、一人だけ他の三人との間で意見が合わなかったのでした」
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp