第29章 継承者
ミラは仲間を得たと、宿題からパッと顔をあげた。
「そりゃそうさ。ロックハートが偉大だとか、馬鹿馬鹿しいぜ」
「マグルにはロックハートが素晴らしく見える魔法にかかってるのかも」
と、そこへハーマイオニーが書棚から姿を現した。ミラとロンは急いで口を閉じた。
「ホグワーツの歴史が全部貸し出されてるの。しかも、あと二週間で予約でいっぱい」
イライラした様子でハーマイオニーはミラの横に腰掛けた。
「私のを家に置いてこなければよかったわ。ロックハート先生の本でいっぱいだったから、トランクに入りきらなかったの」
ミラとロンは目が合うと、お互い微妙な顔をした。言わずとも、ここに重度のロックハートファンがいたと。
「どうしてその本が欲しいの?」と、ハリーが言った。
「みんなが借りたがっている理由は一つよ。『秘密の部屋』の伝説を調べたいの、どうしても思い出せなくて----だから本が必要なのに、他のどの本にも書かれていないの」
「…それか、書けない理由があったとか」
ミラは顎に手を当てて、考えるように話し出した。
「あの壁に書かれた文字も、未だに消せないでいるってことは、かなり強い魔術が使われているか、フィルチが役立たずなだけか。生物を石に変える呪い…これもどんな魔術を使ってるか、金縛りの術よりさらな高度な呪いなのか、誰がやったのか、『秘密の部屋』は存在するのか、『継承者』と『その敵』は誰に当てはまるのか、考え出したらキリがない----ん?」
四つの目が、ジッとミラを見ていた。ロンは難しい顔をしながら、まだ宿題に向かっていた。
「ミラ、そこまで考えてたの?」と、ハリーが少し驚いたように口を開いた。
「ハリーがまた変なことに巻き込まれないか心配で----まぁ、この間早速巻き込まれてたけど」
「ははは…」
「それでも、全然考えててくれて嬉しいわ!私も気になっていたことばかりあるの!」
ハーマイオニーは嬉しそうな顔をしていた。