第29章 継承者
昼食を食べ終えると、二人は図書館に向かった。今日もハーマイオニーはそこにいるだろうと思ったし、ロンは魔法史の宿題をやらなければいけないことを知っているからだ。
階段を上がっていると、向かいから髪の毛が縮れたハッフルパフ寮のジャスティン・フィンチ・フレっチリーがやってきた。彼はマグル出身の魔法使いで、彼とは薬草学で一緒のクラスで、同じグループになったこともあった。
ミラはジャスティンのことを、ベラベラとどうでもいいことを話している人物と捉えていた。
それは、話の話題がロックハート先生の本だったからだ。
ハリーだけが挨拶をしようと口を開きかけたとき、ハリーに気が付いたジャスティンが、急に回れ右して反対方向へ、急足で行ってしまった。
「…何、あれ?」
「…さぁ…何か忘れたとか…」
二人は図書館の奥の方でロンを見つけた。まだ終わっていないらしく、もうすぐ怒って投げ出しそうな様子だった。
「お疲れ、ロン」
「聞いてくれよ、ハリー、ミラ…まだ8インチも足りないんだ…ハーマイオニーなんか、もう四フィートと七インチも書いたんだぜ、しかも細かい字で」
うんざりした様子のロンは、羊皮紙から手を離した。
「これとか、あとこの本を参考にしたら?適当に文を写してくっ付ければそれっぽく見えるよ」
と、ミラはテーブルに乗せてあった本を、ロンに渡した。
「助かるよ」
「ハーマイオニーは?」
ミラとハリーも空いている席に着くと、ハリーは自分の巻尺を取り出してロンに尋ねた。
「どっかあの辺だよ、今日もなんか別の本を探してる。アイツ、クリスマスまでに図書館中の本を全部読むんじゃないかな」
ロンが書棚の辺りを指さした。
ミラとハリーも宿題を進めていると、ハリーが「そういえばさ」、と話し出した。
「さっきハッフルパフのジャスティンと階段で会ったんだけど、急に何か思い出したみたいにどっか行っちゃって…」
「なんでアイツのことなんか気にするんだ?僕、アイツはちょっと間抜けだって思ってたよ」
「やっぱりロンもそう思う?」