第29章 継承者
ドラコのことを考えると、ミラはどう話しかけていいかわからなくなった。去年はなんともなかったはずなのに、今年はこじれにこじれ、未だに謝ることができないでいた。
それはハーマイオニーにも同じで、ハーマイオニーもドラコに謝るべきだと思いながらも言えないでいた。先にドラコが折れ、謝ってくれるならば、どんなに楽なことだろうと思うのだが、ドラコが素直に謝ることがないことなど、ミラが一番わかっている。
「…マルフォイって、親がああじゃなかったら、どうなんだろうな」
「え?」
ハリーは口にしようとしていたビーンズの手を止め、信じられないと言う目でミラを見ていた。
「本屋で会って、ハリーもわかっただろ。マルフォイは、あの親のコピーだって」
「そうだとしても…ミラ、やっぱり頭打ったんじゃない?」
「打ってないってば。マダム・ポンフリーも異常無しって言われてる」
「けど、君がマルフォイのこと考えてるって…もしかして、何か言われた?」
「何も」と、ミラはドラコから目を話し、食事に戻った。
ハリーはせっかく気分が良くなっていたのに、少しミラにモヤモヤした気分を感じていた。それは、ミラは嫌いな人物に対しては、かなり冷たい態度で接することを、ハリーはよく知っているからだ。
ドラコとは喧嘩をしているところも見ているが、去年はなんやかんやで魔法薬のチームをドラコとよく組んでいた。最初はお互い手の探り合いのようなことをしていたが、禁じられた森での罰則以降、どこか二人の距離は近いような気がした。
そして今も、気にしている素振りを見せていた。
一体何なんだろうと、ハリーの頭を悩ませる結果になった。