第29章 継承者
ハーマイオニーも事件の後、いつもの読書が、倍以上に増えた。おかげで読書以外でほとんど話すこともなく、食事の時間でさえも本を片手に何かを調べている様子だった。ハーマイオニーが一度気になることを調べるときは、かなり集中しているので、話しかけても大した返事が返ってこないことを、ミラはわかっていた。
やっと次の水曜日になったとき、ハリーとミラは魔法薬学の授業の後、居残りを言い渡された。大鍋の焦げを落としたばかりだと言うのに、今度は机に張り付いたフジツボ状の生物をこそげ落とすよう言いつけられた。
それが終わって、やっと昼食を取ることができた。
「フィルチの猫より、スネイプが石化すればよかったんだ」
ミラはウィンナーをフォークで突き刺しながら言った。
「この間の件で、僕たちに罰を与えられなかったせいだよ」
「ハリーをクィディッチチームから外したがってたってことは、それだけシーカーのハリーを脅威だって思ってるからさ。もちろんハリーへの嫌がらせを含めてだけど」
ミラは次にポテトを自分のお皿によそった。
「次のクィディッチで、スリザリンをボコボコにしないと!」
「僕より君の方が燃えてない?」
ハリーはスネイプ先生の件で気分が落ちていたが、ミラと話をしていると、だんだん気分が良くなっていくのがわかった。あまりクィディッチに興味がなさそうなミラが、ここまで熱くなるのを見たハリーはクスクスと笑いを漏らした。
「大丈夫だよ。次のスリザリンの試合で、マルフォイもスネイプのどっちも悔しがるところ見せるから」
「ウッドが聞いたら練習量増えそうだね」
ハリーにもクィディッチ熱が伝わり、ハリーは今ならどんな特訓だってやってのけて見せると思った。
ミラはチラリ、とスリザリンのテーブルを見た。テーブルにはドラコ、それからクラッブとゴイルがまだいた。クラッブとゴイルはまだテーブルにあるものを食べているのか、ケーキ皿にあるケーキやマフィンが吸い込まれるようになくなっていった。
ドラコは何も手をつけていなかったが、呆れるように二人を見て何か話している様子だった。