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【HP】怪鳥の子

第29章 継承者


 三階で起こった事件の数日後、学校中ではミセス・ノリスが襲われた話しがあちこちで聞こえた。
それを助長するかのように、管理人のフィルチが猫が襲われた場所を行ったり来たりするせいで、みんなの記憶を生々しいものにしていた。

 更に、フィルチは壁に描かれた文字を消そうと、『魔法万能汚れ落とし』を使って擦っても、消える気配はなかった。一体どのような魔法が使われているのだろうと、ミラはそこに興味があった。

 ちなみに、ミラはあの夜、医務室に行き、マダム・ポンフリーに診察してもらったのだが、どこにも異常はなかった。念のため、次の日のお昼前には出ることができたが、「退屈で仕方ない」と、ハリーたちに愚痴をこぼした。


 フィルチの猫がどうなろうと、ミラの知ったことではなかったが、ジニーがあの事件の後、とても落ち込んでいた。ジニーは無類の猫好きだと、その時ロンが教えてくれた。

「ジニーはあの猫の本性を知らないからだよ、去年、何回あの猫に追いかけ回されたか」
「内心、みんなはいなくなってせいせいしてるかもね」

 ヘラヘラ笑いながら、ミラとロンはジニーを元気付けようとしたが、更に顔色を悪くさせた。

「で、でも、こんなことしょっちゅう起こらないから、大丈夫さ!あんなことした変人野郎は、学校があっという間に捕まえて、ここからつまみ出してくれるさ!できれば放り出される前に、ちょっとフィルチを石にしてくれればいんだけど----冗談!冗談だって!!」
「校長先生があの猫は戻せるって言ってたよ、ジニー。ずっと石のままじゃないさ!」

 ミラとロンは慌ててジニーを励まそうとしたが、ジニーはどこか暗い様子で過ごしていた。

「なんか、学校に来てからのジニーって、元気が無くなった言うか…どう思う、ロン?」
「学校生活にまだ慣れてないんじゃないか?」
「入学してから三ヶ月は経つのに?刺激が足りないのかな?」
「去年の僕達と同じにしたらダメだよ。去年が特別すぎただけさ」

 ミラは後ろ髪が引かれる思いだった。
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