第28章 異変
「帰ってよろしい---ミス・グローヴァーは念の為、医務室に行きなさい」
ダンブルドア校長に言われて、ミラたちはロックハート先生の教室から速やかに退出した。四人は走りはしなかったものの、できる限り急いでその場を立ち去り、誰もいない教室に急いで入った。
「一体何があったんだ?」
ミラが一番に口を開いた。
「それは君もだ。倒れたってどういうことだい?」
ハリーも混乱しているようだった。
「そのまんまさ。頭痛が痛すぎて倒れた…んだと思う」
「えぇ…それって…」
「でも今はスッキリしてるぐらい。医務室なんかに行かなくてもいいのに」
「言ったほうがいいわ、校長先生もおっしゃってたじゃない」
「マクゴナガル先生がチェックしに行くかもしれにないしな」
ハーマイオニーとロンにも言われ、ミラは渋々と言った様子で「わかった、行くよ」、と言った。
「それで、ハリーたちはなんであの現場にいたんだ?」
「またあの声を聞いたんだ…ロンもハーマイオニーも聞こえなかったみたい」
ハリーは少し落ち込んだ様子だった。
「あの声のこと、先生たちに話したほうがよかったかな?」
「やめとけよ。誰にも聞こえない声が聞こえるのは、魔法界でも狂気の始まりだって思われて----」
ミラはロンを小突いた。
「だ、だからって、君のことは信じてるよ!----だけど、君も薄気味悪いって思うだろ…」
「そう思うよ…何もかも気味の悪いことだらけさ。壁にはなんて書いてあった?」
「確か…『秘密の部屋は開かれたり。継承者の敵よ、気を付けよ』…秘密の部屋って何?」
「ちょっと待って、僕、思い当たることがある気がする」
ロンは考えながら話し始めた。
「誰かが、ホグワーツの『秘密の部屋』のことを話してくれたことがある----ビルだったかなぁ」
「それに、『スクイブ』っていったい何?なんでフィルチはあそこまで怒ってたんだ?」
「ああ、それは…」
ロンはクスクス笑いを噛み殺した。