第28章 異変
「校長、ポッターは全面的に正直な話をしているとは言えないですな。全てを正直に話す気になるまで、グリフィンドールのクィディッチチームから外すのが適切かと思いますが」
「そう思いですか、セブルス」
と、マクゴナガル先生はクルリとスネイプ先生の方に向き直った。
「ポッターが悪いことをしたという証拠は何一つないのに、クィディッチチームから外す理由は見当たりませんね。この猫が箒の柄で頭を叩かれたわけでもありませんのに」
そうだ!と、ミラは黙ったまま頷いた。
「疑わしきは罰せずじゃよ、セブルス」
ダンブルドアがキッパリとスネイプ先生に言った。おかげでスネイプ先生は憤然としていた。フィルチもまたそうだった。
「私の猫が石にされたんだ!刑罰を受けさせなけりゃ収まらん!」
「アーガス、猫は治せるのじゃ。スプラウト先生が、最近、苦労してマンドレイクを手に入れられてな。十分に成長したら、すぐにもミセス・ノリスを蘇生させる薬を作ってもらいましょうぞ」
金切声をあげているフィルチに、ダンブルドア校長は穏やかに言った。
「私がそれをお作りしましょう!私は何百回作ったかわからない位ですよ。『マンドレイク回復薬』なんて、眠ってたって作れます」
すっかりロックハート先生の存在を忘れていたのが、突然口を挟んだおかげで、一緒の部屋にいたことをミラは思い出した。
(絶対この人の魔法薬は飲みたくないな…)
ミラは百味ビーンズの鼻くそ味を食べた時のような顔をした。
「失礼ですが」と、スネイプ先生が冷たい声で切り込んだ。
「この学校では、私が魔法薬の教師のはずだが」
流石のロックハート先生も、何も言い返さなかった。あまりにも気まずい沈黙が流れ、ミラは漏れ出しそうになる笑いを抑えようと、口に手を当てた。