第28章 異変
「フィルチは魔法が使えない魔法族だってことさ、ハリー」
ミラもロンにつられてニヤッと笑って答えると、ハリーはミラの言い方に、どことなく悪意を感じた。
「やっぱりスクイブだったんだ、アイツ」
「ミラ、アイツがスクイブってこと知ってたの?」
「うん、去年確か…」
『当たり前だ。僕が捕まるわけがないだろ、あんなスクイブに』
「----誰かに聞いたんだけど…誰だったかな…」
なんて下手な嘘だろうと、ミラは凹んだ。ミラにスクイブのことを教えたのは、他でもないドラコだった。ハリーへの説明も、まんまドラコの言ったことをそのまま言ってしまっていた。
「でも滅多にいないよ」と、ロンが話に入ってくれて、ミラは内心ホッとした。
「フィルチのやつ、『クイックスペル・コース』で魔法の勉強をしようとしてるなら、きっと『スクイブ』だな。でも、これでアイツが何で僕たち生徒をあんなに憎んでいるか、やっとわかった。妬ましんだ」
ロンはどこか満足気に笑った。
どこかで時計の鐘が十二回鳴った。
「もう十二時だ。早く行こう、スネイプがやってきて、別のことで僕たちを陥れないうちにね」
「暴れ柳の件で、特に目をつけられてるからね」
ミラは三人と別れて、真っ直ぐと医務室に向かった。