第28章 異変
「セブルス」と、マクゴナガル先生の厳しい声がスネイプ先生の会話を遮った。
「生徒が一人城で倒れていたと言うのに、数時間も気付けなかったのは、私たち学校側の落ち度です--いくらハロウィンで城中の者が浮かれていたとしても、生徒たちの安全を守るのが私たちの勤めです」
「ミス・グローヴァーにはアリバイがないのですぞ」
「倒れていた者にどう証明をしろと言うのですか、証拠はあるんですか?」
マクゴナガル先生はスネイプ先生の横を通り過ぎると、ミラの前にやってきた。ミラは目の前にやってきたマクゴナガル先生は、エメラルドの上衣から杖とハンカチを取り出すと、杖をハンカチに当てた。
そのハンカチをソッとミラの汚れている頬に当てると、ハンカチが湿っていることに気が付いた。
「こんなに血を流して…頭は打っていないですか?」
「…座り込んでいたので…打ってないです…多分」
ミラは居心地悪そうに、マクゴナガル先生の心配の眼差しから目を逸らした。しかし、ミラは改めてマクゴナガル先生の生徒で良かったと、心から思った。間違っても、スネイプ先生の生徒であれば、登校初日の日に既に、問答無用で退学処分を言い渡されていただろう。
「ゴホン」と、スネイプ先生はわざと咳き込んだ。
「失礼。では、グローヴァーは意識がなかったとして」
スネイプ先生はまだ含みのあるような言い方だった。
「--そこの三人、その後パーティに来なかったのは何故かね?何故、あそこの廊下に行ったのかね?」
スネイプ先生の暗い目が、蝋燭の灯りでギラリと光った。
「それは----つまり----」
ハリーが困ったように話し出した。
「絶命日パーティが楽しすぎて--僕達とっても疲れてたので、早くベッドに行きたかった者ですから----」
「夕食も食べずにか?」
スネイプ先生は不気味な顔に勝ち誇ったような笑いを見せた。
「ゴーストのパーティで、諸君らに相応しい食べ物が出るとは思えんがね」
「僕達、お腹が空いてませんでした!」
ぐぅううう、とロンが大声で言った途端、お腹の音が鳴った。その音を聞いたスネイプ先生は、ますますそこ意地の悪い笑みを浮かべた。