第28章 異変
一体ハリーとフィルチの間に何があったのだろうと、ミラはハリーとフィルチを交互に見た。『クイックスペル』とは一体なんのことだ?と、いまいち会話についていけない。
「校長、一言よろしいですかな」
と、それまで静かだったスネイプ先生が声を発した。ミラは嫌な予感がした。スネイプ先生が今まで自分たちに有利になるような発言をしたことがない。それはハリーも同じことを感じていた。
「ポッターもその仲間も、単に間が悪くその場に居合わせただけかもしれませんな」
と、自分はそうは思ってないとばかりに、わずかに歪めて冷たく笑っているスネイプ先生の口元を見て、ミラは眉間に皺を寄せた。
「とはいえ、一連の疑わしい状況が存在する。どうして彼らは、三階の廊下にいたのか?何故、四人はハロウィーンパーティにいなかったのか?更に、ミス・グローヴァーは何故血で顔を汚しているのか?」
「首無しニックの絶命パーティに行ってました!」
ハリー、ロン、ハーマイオニーは一斉に『絶命日パーティ』の説明を始めた。
「私は頭痛で医務室に向かっている途中でした」
「途中?」
しかし、ミラだけは違う。ミラは絶命日パーティに参加はしておらず、医務室に着くまえに意識を飛ばし、その間誰もミラを見つけていない。誰もミラが何をしていたか、証明できないのだ。
「先生!ミラは本当に具合が悪そうでした!一階までは一緒にいました!」
「では何故顔に血をつけているのかね?」
「それは…」
ハーマイオニーは困ったようにミラを見た。
「頭痛が酷くて倒れたみたいです」
「誰も付き添ってくれなかったのかね?」
「一人でいけると、三人に断ったんです」
スネイプ先生は目を細めてミラを見たが、ミラは負けじとスネイプを見返した。
「私が倒れた証拠なら、まだ廊下に血が残っているはずです」
「何故医務室に行かなかったのか不思議ですな…何か不都合でも?」
「目が覚めたら頭痛が治まっていたので、大広間へ向かっていました。けど、パーティが終わってしまって、一緒に帰ることにしたんです」
「つまり、医務室へ向かっている間の君を、誰も見ていないと----」