第28章 異変
「お前だ!お前が私の猫を殺したんだ!あの子を殺したのはお前だ!私がお前を殺してやる!私が----」
ミラは慌てて生徒の群れを押し除け、ハリーを庇うように前に出た。
「誰が、誰を、殺すって?」
ハリーに走って駆け寄った時、ミラのフードは完全に取れていた。血のついた顔がフィルチの前に晒されると、飛び出していたフィルチの目が更に血走った。
「なんだその血は!お前か…お前なんだな!!」
フィルチは今にもミラに飛びかかりそうな勢いでミラに駆け寄ってきた。ミラはフィルチに恐怖することなく、冷たく睨みつけた。
「アーガス!」
ダンブルドア校長が、他に数人の先生を従えて到着した。ダンブルドア校長は素早く四人の脇を通り抜けると、ミセス・ノリスを松明の腕木から外した。
「アーガス、一緒に来なさい。君たちもだ、ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリ、ミス・グレンジャー、ミス・グローヴァー」
「校長先生、私の部屋が一番近いです。すぐ上です。どうぞ、ご自由に」
「ありがとう、ギルデロイ」
生徒の群れが無言のまま左右に割れ、一行を通した。どこか得意げで興奮した面持ちのロックハート先生は、ダンブルドア校長のすぐ後ろに従った。マクゴナガル先生とスネイプ先生もその後に続いた。
ロックハート先生の部屋に着くと、ダンブルドア校長はミセス・ノリスを磨き上げられた机の上に置いて調べ始めた。ハリー、ロン、ハーマイオニーは緊張した面持ちで目をかわしていた。ミラも慌ててハリーの前に飛び込んだため、あまり状況を把握していなかったが、ダンブルドア校長の様子を見て、あまりいい状況じゃないとい事だけはわかった。
ダンブルドア校長とマクゴナガル先生が身をかがめて、目をこらしてミセス・ノリスを調べていた。スネイプ先生はその後ろで漠然とした様子だったが、どこか微笑みを必死で噛み殺しているような、奇妙な表情をしていた。ロックハート先生はみんなの周りをウロウロしながらあれやこれやと意見を述べ立てていた。