第28章 異変
--面倒だな、とミラは上衣のフードを深く被ると、その生徒たちの中にまぐれこんだ。早く女子トイレに着いて、顔を洗いたかった。しかし、生徒たちの歩みは途中で止まり、ミラも足を止めざるを得なかった。
ミラは早くこの群れから抜け出すにはどうしようかと考えていると、誰かが人を押しのけて前に進んでいた。押された人がミラにのしかかり、誰だとイライラしながらぞの人物に目を向けると、よく知ったプラチナブロンドの頭が見えた。
その前に二人の生徒が人を押し除け、ドラコの道を開けているようだった。これはチャンスと、#NAME1#も「すいません」と、人垣をかき分けながらその後に続いた。
前に進むほど、生徒たちが何か息を呑むような、変な静けさで押し合っていた。
「継承者の敵よ、気を付けよ!次はお前たちの番だぞ、『汚れた血』め!」
ドラコが叫んでいる声が聞こえた。ミラもやっと前の方にやってくると、松明の腕木に尻尾を絡ませたミセス・ノリスと、窓と窓の間の壁に文字が塗り付けられていた。
秘密の部屋は開かれたり
継承者のてきよ、気を付けよ
そしてハリー、ロン、ハーマイオニーの三人が廊下の真ん中に取り残された状態でいた。
さらに、ドラコの大声で引き寄せられた管理人のフィルチまでもが、人混みを押しのけてやって来た。
「なんだ、なんだ?何事だ?」
フィルチは松明にぶら下がったミセス・ノリスを見た途端、恐怖のあまり手で顔を覆い隠し、後退りした。
「私の…私の猫だ!私の猫だ!誰がミセス・ノリスにこんなことを!」
フィルチは金切声で叫び出した。
「お前だな!」
そしてその怒りは、廊下の真中にいたハリーに飛び火した。