第28章 異変
「ク…ッソ…うっとう、しい…なぁっ!!」
バシッ!、と大きな音が廊下に響き渡った。その衝撃で近くにあった窓にはヒビが入った。グツグツ煮えたぎった火山が噴火したような、体の内側に溜め込まれた怒りが解放されたように、ミラは感じた。頭痛も一瞬吹き飛んだが、ミラはクラクラする感覚に襲われた。
(あ、れ……?)
鼻から何かが垂れている感覚と、ぼんやりする感覚のまま、ミラは視界が真っ暗になっていく----。
意識がゆっくりと浮上する感覚に、ミラは目を覚ました。地面に着いていた顔を起こすと、鼻から顔半分に変な感覚がした。手で触ってみると、一部は乾いているものと、まだ濡れている部分があった。
なんだろうと、手についたものを思じっくりと見てみると、それは変色した血であることがわかった。
大方、頭が痛すぎて意識が飛んでしまい転倒してしまったのだろうと、ミラはそう思うことにした。ゆっくりと立ち上がると、あることに気が付いた。
「あれ…頭が痛くない…?」
あの酷い頭痛が全く無くなっていた。むしろスッキリした気分だった。ミラは上衣の袖で顔が汚れているであろう部分を擦ると、医務室には向かわず、過ぎた大広間に向かった。
(どれくらい意識なかったんだろ…血が乾いてる様子からして、多分結構経ってるだろうし…ハリーたちはもうパーティ終わったのかな?)
大広間へ向かっている途中、向かっている方角からたくさんの生徒の声が聞こえた。満腹で楽しげな声と、何百という足音、それがパーティが終了したんだと理解するのに、そう時間はかからなかった。