第28章 異変
十月三十一日、ついにハロウィーンがやってきた。
『絶命日パーティ』の開始時間は、ちょうど大広間のハロウィンパーティーと同じ、夜の七時からだ。
「本当についてないよ、こんな日に体調不良だなんて」
もう少しで出発という時だった。談話室のソファーで、顔色を悪くしてグッタリしているミラにロンは言った。頭痛がいつもの比ではなく、心なしか体も怠いと感じた。
「絶対に医務室に行くべきよ」
「うーん…でもパーティ行かなきゃ…ニックに申し訳ないよ」
「ニックなら事情を話せばわかってくれるよ」
ハーマイオニーとハリーに言われて、ようやくミラは医務室に行く決心をした。酷い頭痛と気だるさに、ダサいと思っている『元気爆発薬』を飲まないとは言ってられない。
それに、こんな夜に医務室に来る生徒なんていないので、誰かに見られることもないだろうと思った。
ハリー、ロン、ハーマイオニーと一緒に一階の大広間まで降りると、ミラは一人で医務室に行けると言って、三人と別れた。三人は心配して着いて来てくれると言ったが、パーテに遅れるとよくないと言って、なんとか三人を納得させた。
首無しニックの絶命日パーティーは、同じ一階ではなく、地下牢で開かれているからだ。
ミラは酷い頭痛と気だるい体を引きずるように廊下を歩いた。いつもならすぐ着く医務室も、今夜はすごく遠く感じた。やっぱりハリーたちに来てもらった方がよかったかもしれないと、ミラは少し後悔した。
「っ…あー……なんで、こんなに、頭が…」
熱があるわけでもないのに、ひどく頭が痛かった。ミラはヨロヨロと壁伝いに医務室に向かうも、ついにあまりの痛さにその場にうずくまってしまった。
「痛い…」
痛すぎてミラは段々とイライラし出した。痛みの波が少し引いたと思ったら、またひどく痛みだし、ミラはあまりの頭痛の痛さに、歯を食いしばった。体の内側から、何かが溢れ出しそうな感覚があり、全てを吐き出したい気分だった。