第28章 異変
ミラはまた手を止めた。今までちゃんとドラコとの関係を考えてこなかったせいで、トムに言われるまで気付かなかった。ドラコは友達というほど、仲がいいというわけではない。知り合いにしては、一年生の時の魔法薬の授業でよく組んでいた仲だったから当てはまらない。
しかし、確かにミラとドラコの関係は歪だが続いている。お互い酷いことを言い合うが、謝ることも、心配することもできる。でも、トムの言う『特別な関係』に、答えることができなかった。
『よくわからない』、とだけ書いて、ミラは日記を閉じた。
謝ると言った手前、ミラは中々ドラコに話しかけられないでいた。学校のどこかでドラコを見かけても、ドラコは常に誰かと一緒にいることが多かったし、クィディッチの選手になってからは上級生と並ぶことも多い。
あの日、ドラコの鼻をぶん殴ってからというもの、ドラコの取り巻きと思われるパンジー・パーキソンがやたらミラを警戒して睨みつけていたし、ハリーたちの前でドラコに謝るにも、また色々めんどくさいことになるだろうと思って、行動に出れないでいた。
「…はぁ」
ずっとドラコに謝りたいと考え続けているせいか、時々感じていた頭痛がここ最近はもっと酷くなった感じがしていた。
気が付けばハロウィーンパーティの日がだいぶ近くなっていた。クィディッチの練習で、泥だらけで帰ってきたハリーが着替えを済ませた後、ハリーは面白そうな話を持ってきた。
「ニックに五百回目の絶命日パーティに誘われたんだけど、よかったら君たちも来ない?」
「絶命日パーティですって?生きている内に招かれた人って、そんなに多くなはずだわ--面白そう!」」
ハーマイオニーが夢中になって言った。
「自分が死んだ日を祝うって、どういうわけ?」
『魔法薬学』の宿題が半分しか終わっていないロンは、機嫌が悪そうに答えた。
「喜んでいいのか、悲しんでいいのかわからないんだけど…ハリーは行くの?」
「うん、行くつもりだよ。実はフィルチが----」
その時、談話室の暖炉の近くにいたフレッドとジョージ、そして何人かの生徒たちから何かが飛び上がり、派手な花火を散らし、大きな音を立てながら部屋中を猛烈な勢いでグルグル回っていた。