第28章 異変
その晩、ハーマイオニーに寝ると約束したはずなのに、トムと日記で語り合うのがやめられなかった。
『こんばんは、トム』
『こんばんは、ミラ。風邪が流行ってるみたいだけど、君は大丈夫?』
『私、あまり病気したことないし、孤児院で薬なんてあまりもらったことないから、病気には強い方だと思う』
『君の孤児院の話を聞いていると、すごく腹立たしくなるよ。君がそんな扱いをマグルから受けていいわけがない----でも、君はすでに何か考えがあるんじゃないかな?』
『さすがトム!もちろん考えてるさ!もっと魔法を勉強して、いつか呪ってやるつもりさ!』
『それにしても、これだけマグルに恨みを持っているのに、君はどうしてグリフィンドールなんかに入ったんだい?スリザリンなら、君はもっと素晴らしい魔法使いになったかもしれない』
トムは時々、何故スリザリンに入らなかったことへの疑問をミラにするようになった。
『トム、私は最初にあなたに謝らないといけない。私は孤児院ではひとりぼっちだったけど、近くに私と同じ魔法使いの子がいた。その子も…私と同じような境遇だったから、放っておけなかった…その子がグリフィンドールに入ったから、私もそこに入りたいって、組分け帽子にお願いしたってわけ』
『つまり、君はグリフィンドール以外の適性があったんだね?』
トムと日記を通じて話していると、トムという男は本当に頭の回転が早く、とても賢いことがわかった。この間、わざと魔法薬の宿題でわからないところがあると聞いてみると、答えは教えてはくれなかったものの、図書館にある魔法薬の本を勧めてくれた。
半信半疑で調べに行くと、本当にその本は存在しており、より詳しく書かれていたことに驚きを隠せなかった。あまりにも出来が良すぎたのか、それとも普段のレポートより詳しく書いたせいか、スネイプ先生から訝しげな視線を受けてしまった。
『…帽子は、私にグリフィンドールは合ってないって言ってた。でも、特に問題なく過ごしてるし----』
『でも、時々自分に合ってないって思うことがあるんじゃないかい?』
--今日のトムは少し刺々しいな。