第27章 罰則
「私がハリーと一緒にいる理由は、前にも話したはずだ。それに、ハリーは好きで目立ってるんじゃない----ヴォルデモートとかいうクソッタレがいなかったら、ハリーだってアンタと同じ、普通の生徒だったと思うよ」
「!」
ドラコと後ろにいたクラッブとゴイルは、ミラが『例のあの人』の名前を、恐れも無くいったことに驚いた。
「目立ちたかったのはマルフォイ、アンタの方でしょ?」
振り返ったミラのアメジスト目は、暗く、冷たい。
「私も、ロンも、ハーマイオニーも、ハリーが目立つからそばにいるんじゃない。大事な友達だから一緒にいる----ハリーは、友達が貧乏でも、マグル出身の魔女でも、捨て子でも区別したりしない----服屋で会った時は、もう少しマシだと思ったのに」
ホグワーツの入学を楽しみにして、気取ってはいたが色々と楽しそうに話してくれた少年が遠く、掠れてしまうくらい今のドラコに嫌悪を感じた。ダイアゴン横丁で彼の父親と遭遇したときも、本屋でロンの家族を馬鹿にしたことも、そしてハーマイオニーのことを『汚れた血』と罵ったことも----。
「アンタの父親が純潔だとか、お金持ちだとか、それこそ全部下らないよ」
「ッ…!」
いつも青白いドラコの頬に、カッと赤色の色がさした。
「父上を愚弄するなっ!!!」
ドラコはミラに掴みかかった。
「訂正しろ!」
「しない!アンタが私の友達に謝るまで何度だって言ってやる!」
「この…ッ!」
服を掴みかかったせいもあるが、ミラは少しだけ背の低いドラコを睨み付けた。冷たいアメジストの瞳に睨み付けられながらも、ドラコも一歩も引き下がらなかった----いや、引き下がりたくなかった。
朝に殴りつけられた件もあるが、自分の全てを下らない、特に父親のことを馬鹿にされて腹が立った。なんとかして謝罪の言葉を言わせたかった。
でも、この言い争いが気に入らない。気に入らないはずなのに、止まることができない。
「何事だ、騒がしい!」
ドラコはミラに掴みかかっていた手を素早く手放した。