第26章 汚れた血
「ところで、ミラは何してたの?」
「そういえば、お前さんは遅れて来よったな」
ハリーは少し嫌な予感がしつつも、ミラに尋ねた。
「ぶん殴ってやった、マルフォイを」
「君ならそうしてくれるって思った…アイツだって、流石に女の子に負けたなんて、親に言いたくないはずだ」
うええ…、とロンがナメクジを吐きながら賛同してくれた。
「だからって、君の手をアイツなんかで汚す必要なんかないよ」
ハリーはミラの右手を取った。
「大丈夫だよ。口も消しといた」
ニヤッと笑ったミラにハリーは目眩がいそうだった。どうしてあの時ミラも連れていかなかったのだろうと後悔した。
「…何か、アイツに酷いこと言われた?」
ハリーは心配そうにミラを覗き込んだ。
「----別に。誰に何言われても気にしないよ」
捨てられて当然----ドラコが最後に言った言葉がチクリとした。
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そろそろ昼食の時間になる頃、ハグリッドにさよならを言い、四人は城に向かった。ハリーは夜明けから今まで、サンドイッチ一つだけを口にしていて、すごくお腹を減らしていた。
ロンは時々しゃっくりをしていたが、小さなナメクジがちょっとだけ出てくるだけになっていた。城の玄関ホールに足を踏み入れた途端、マクゴナガル先生が厳しい表情で歩いて来た。
「そこに居ましたか、ポッター、ウィーズリー、グローヴァー」
いったいなんだろうと身構えていると、車の件の処罰が今夜行われることを知らされた。
「ウィーズリ、貴方はフィルチ管理人と一緒にトロフィー・ルームで銀磨きです。もちろん、魔法はなしです。自分の力で磨くのですよ」
これにはロンも絶句した。管理人のアーガス・フィルチは、学校中の生徒から嫌われている人だ。フィルチと一緒にいるだけでも処罰だろうと、ミラはこっそり思った。
「ポッター、あなたはロックハート先生がファンレターに返事を書く作業えお手伝いなさい」
「えーっ、そんな----僕もトロフィー・ルームの方ではいけませんか?」
絶望的な声を上げたハリーが、マクゴナガル先生に縋るように頼んだ。
「もちろんいけません。ロックハート先生は、あなたを特にご指名です」
流石のハリーも絶句した。