第26章 汚れた血
自慢顔をしていたドラコの顔が歪み、ハーマイオニーと、まだ口元を手で押さえて笑いを堪えているミラの方を見た。
「誰もお前の意見なんか求めてない。生まれ損ないの『汚れた血』め」
ドラコがそう吐き捨てるように言い返すと、途端に非難の声が上がった。ミラはドラコがハーマイオニーに対して、酷いことを言ったのだとわかった。
「よくもそんなことを!」
「謝れ!!」
フレッドとジョージがドラコに飛びかかろうとしていたところ、スリザリンのキャプテン、フリントが急いでドラコの前に立ちはだかった。そんなに『汚れた血』という言葉はいけない言葉なのか、グリフィンドールチームの誰もが怒っていた。
ミラはハーマイオニーの隣から離れず、乱闘騒ぎになっている様子をただ見るかことしかできずにいた。
「マルフォイ、思い知れ!」
そのせいで、ロンがポケットから杖を取り出し、フリントの脇の下からドラコの顔に向かって杖を突き出していたことを見失っていた。
バンという大きな音が競技場に響いた。緑の閃光が、杖先からではなく、反対側から飛び出した。それはロンの胃のあたりに当たり、ロンはよろめいて、芝生の上に尻餅をついた。
「ロン!ロン!大丈夫!?」
ハーマイオニーが悲鳴をあげてロンに駆け寄った。ミラも慌てて駆け寄り、ロンの肩に手を置いた。
「ロン、何か言って!」
ロンは口を開いたが、言葉が出ない様子だった。かわりに、口から数匹のナメクジが膝にこぼれ落ちた。
スリザリンチームは笑い転げた。フリントと新品の箒に縋って、腹を捩って笑っていたし、ドラコは四つん這いになって、拳を地面に叩いて笑っていた。