第26章 汚れた血
「べ、別にそこまで欲しいってわけじゃ…」
「じゃあ私がもらうよ」
「おい!!!」
変に気を遣うロンに、ミラは遠慮なくハーマイオニーのサンドイッチを受け取ると、ロンが吠えた。
「ハハハ、嘘だよ」
ミラはロンにサンドイッチを渡すと、ロンはムスッとしていた。からかい甲斐がある面白い男である。
ウッドが選手の方へ飛んでいき、何か話し合っていると、グラウンドに緑色の競技用上衣(ローブ)を着込み、箒を手にした数人が入ってきた。
「ねぇ、あれって…」
一番に気がついたハーマイオニーが、指をさして呟いた。
「嘘だろ…ヤバい感じがするぞ」
ロンもグラウンドに誰が入ってきたか理解すると、席を立って呟いた。グランドに入ってきたのは、グリフィンドールと一番相性が悪いスリザリンのチームだった。
「行こう」
嫌な予感がして、ミラも立ち上がり、二人に声をかけてグラウンドに向かった。
選手たちが集まっているところへ、三人は走って芝生を横切ってきた。その途中、スリザリンの選手の中に、良くも悪くも目立つ、プラチナブロンドの髪が目に入ってきた。
「どうしたんだい?どうして練習しないんだよ----それに、なんでお前がここにいるんだ?」
と、ロンはスリザリンのクィディッチ競技用上衣を着ているドラコの方を見ながら言った。
「ウィーズリー、僕はスリザリンの新しいシーカーだ」
ドラコが満足げに言った。
「僕の父上が、チーム全員に買ってあげた箒を、みんなで称賛していたところさ。いいだろう」
ロンは、目の前に並んだ最新式の七本のニンバス2001を見て、口をあんぐり開けた。
「だけど、グリフィンドールも資金集めして、新しい箒を買えばいい。そのクリーンスイープ五号を慈善事業の競売にかければ、博物館が買い入れるだろうよ」
スリザリンチームは大爆笑した。
「少なくとも、グリフィンドールの選手は、誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ。こっちは、純粋に才能で選手になったのよ」
と、ハーマイオニーがキッパリと言った。
「フフッ」と、ミラも小さく吹き出した。