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【HP】怪鳥の子

第26章 汚れた血


「全員が私の本を全巻揃えたようだね。たいへんよろしい----今日は最初にちょっと簡単な試験をやろうと思います。心配ご無用----君たちがどのくらい私の本を読んでいるか、どのくらい覚えているかをチェックするだけですからね----」


 テスト用紙を配り終えたロックハート先生の開始の合図で、テスト用紙を表に向けると、ミラは益々眉間に皺を寄せ、隣のハリーを見た。ハリーも同じような顔をしていて、質問を読み上げた。


「ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何色ですか?----何、この問題?」
「知らない----ターコイズでいいんじゃない?今日着てるし」


 その次の問も、その次も、『闇の魔術に対する防衛術』に関する質問は一切なかった。くだらない質問が延々三ページ、しかも裏表に渡って続いていた。

 最後の質問は、ロックハート先生の誕生日についてだった。

「トロールの鼻くそを送ってやろうか」
「そりゃいい」
「シッ!聞こえたらヤバいよ!」

 ミラはイライラしたように言うと、ロンも同じような考えだったようだ。ハリーは口に指を立てて二人を注意した。


 三十分後、答案用紙を回収したロックハート先生は、クラス全員の前でパラパラとそれをめくって確認した。


「チッチッ----私の好きな色はライラック色だと言うことを、ほとんど誰も覚えてないようですね『雪男と一年』の中でそう言っているのに」

 その後もロックハート先生の回答は続いていたが、ロックハート先生の本を一切読んでいないミラの答案は、かなり酷いものであった。

「私の誕生日の理想的な贈り物は、魔法界と、非魔法界のハーモニーです。『狼男との山歩き』の第十二章にはっきりと書いてありますよ----もっとも、オグデンのオールド・ファイア・ウィスキーの大瓶でもお断りはいたしませんよ!」

 ロックハート先生はクラス人員にイラズラっぽくウインクしたが、前列に座っていたシューますとディーンは声を押し殺して笑っていた。ロンはもう呆れて物が言えない、という表情をしていたし、ミラは死んだ魚の目を濁った目で見つめていた。
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