第26章 汚れた血
ミラの隣に座っていたハーマイオニーだけは、ロックハート先生の言葉にうっとりと聞き入っていた。
「しかし、ミス・ハーマイオニー・グレンジャーは私の密やかな待望を知ってましたね」と、突然ロックハート先生に自分の名前を名指しされ、ビクっとした。
「それに---なんと、満点です!ミス・ハーマイオニー・グレンジャーはどこにいますか?」
ハーマイオニーは、震えながら手を挙げた。
「素晴らしい!」
と、ロックハート戦士はニッコリとハーマイオニーに笑顔を送った。
「まったく素晴らしい!グリフィンドールに十点あげましょう!----それでは授業に移りましょう」
ロックハート先生は机の後ろに屈み込んで、覆いのかかった大きなカゴを持ち上げて、机の上に置いた。
「さあ----気を付けて!魔法界の中で最も穢れた生物と戦う術を授けることが、私の役目なのです!この教室で君たちは、これまでになかった恐ろしい目に遭うことになるでしょう。ただし、私がここに居るかぎり、何物も君たちに危害を加えることはないと思っていただきましょう。落ち着いているよう、それだけをお願いしておきましょう」
やっと授業の始まりかと、ハリーとミラは前の前に積み上げていた本の山の傍からよく見ようと覗き込んだ。ロックハート先生が覆いに手をかけると、シューマスとディーンは笑うのをやめていた。ネビルは一番前の席で縮こまっていた。
「どうか、叫ばないようお願いしたい。連中を挑発してしまうかもしれないのでね」
クラスの全員が息を止めて、覆いを掴んだロックハート先生を見つめた。
「さあ----捉えたばかりの、コーンウォール地方のピクシー(小妖精)だ」
「ブッ…あははははははは!」
シューマスが堪えきれなくなり、噴き出してしまった。
「どうかしたかね?」
「あの、コイツらが----あの、そんなに危険、なんですか?」
シューマスは笑いを堪えるのに、むせ返っていた。
「思い込みはいけません!連中は、厄介で危険な小悪魔になり得ますぞ!」