第25章 友のため
杖が折れたロンの変身術での評価は悪く、昼食の席では不機嫌さが伺えた。
「午後の授業はなんだっけ?」
気を使ったハリーが、ハーマイオニーに尋ねた。
「次は闇の魔術に対する防衛術よ」
「なんでロックハートの授業に全部小さなハートで囲ってるんだ?」
ハーマイオニーの時間割りを取り上げたロンが不思議そうに尋ねると、ハーマイオニーは真っ赤になってそれを取り上げた。
「ハーマイオニーったら、彼にお熱なんだよ」
「違うわ!」
死んだ魚のような目でサラッとミラは言うと、午後の授業が更に憂鬱に感じた。どうにもロックハート先生のことは好きにはなれなかった。いつも笑顔でいるあの顔も、眩しすぎる白い歯も、発言も何もかもが受け付けない。
「まだスネイプがやった方がマシかも」
「冗談はよしてよ、ミラ…考えただけで寒気がする」
「どっちも最悪なのは間違いないぜ」
「三人とも、失礼だわ!」
ハーマイオニーに一喝されて、ハリーはスネイプ先生とロックハート先生がすぐ近くを歩いていないかチェックした。
「ハリーは頭の後ろに顔がついていない先生なら、誰でも大丈夫でしょ」
「…それは、どうかな…」
「今思うと強烈だよな」
「臭かったのも、ヴォルデモートのせいだったのかな?」
「その名前は呼ばないでくれ!」
「あら、ごめんなさいロニー坊や」
「怖がらせちゃった?」と、ニヤッとロンを見て笑ったミラに、ロンは顔を赤くさせて睨みつけた。
昼食を終えると、四人は中庭へ向かった。空は曇り空で、この後の授業を受ける自分の心のようだとミラは思った。ハーマイオニーは石段に腰掛けると、本の続きを読み始めた。ミラもその横に腰掛けると、去年のクリスマスに、マクゴナガル先生からもらった変身術の本を取り出し、黙々と読み始めた。
「さっき変身術が終わったばかりなのに、まだ勉強するのかい?」
と、ロンがハーマイオニーが図書館から大量の本を借りてきた時のような目を向けて、ミラに言った。
「いざって時に役立ちそうだなって----それに、ミセス・ノリスに見つかった時、ヒヨコにでも変えて逃げられるかもしれないし」
「それグッドアイディアかも」
「でしょ?」
「それに、」と、ミラは本から目を離さずに続けた。