第24章 車通学
イライラしたロンに、ハーマイオニーもイライラして応えた。
「でも、話しを逸らさないで----」
『太った婦人の肖像画』が開くと、突然ワッと拍手の嵐が起こった。ハーマイオニーの言葉はかき消された。グリフィンドールの寮生は、全員まだ起きている様子だった。丸い談話室いっぱいに溢れ、傾いたテーブルの上や、ふかふかの肱掛椅子の上に立ち上がったりして、三人の到着を待っていた。
『肖像画』の通路のほうに何本も腕が伸びてきて、ハリーとミラとロンを部屋の中に引っ張り入れた。取り残されたハーマイオニーは、一人で通路を通ってあとに続いた。
「やるなあ!」
「感動的だぜ!なんてご登場の仕方だ!車を飛ばして『暴れ柳』に突っ込むなんて、何年も語り草になるぜ!」
全然話したこともない上級生から、ミラ達は「よくやった」と褒められた。フレッドとジョージが人波を掻き分けて前のほうにやって来て、口を揃えて言った。
「オイ、なんで、俺たちを呼び戻してくれなかったんだよ?」
「ズルいぞ!」
「色々あって…でも、呼び戻せるなら、呼び戻したかったよ」
「本当か〜?」
ミラは少し困った顔でフレッドとジョージに答えた。その時、ハリーに肩を叩かれたミラは、ハリーがパーシーの方を顎でしゃくっていた。パーシーの顔は他のグリフィンドール生とは違い、怒っているような顔だった。きっと叱りつけようとしているに違いないと感じ取ったミラたちは、急いで螺旋階段に向かった。
「ごめん、疲れちゃって----もう寝るね!」
ハリー、ロンと別れたミラも急いで女子寮の部屋に向かった。