第24章 車通学
「まったく----危ない所だったぜ…車よ、よくやった」
ロンが車を褒めると同時に、ガチャっと車全てのドアが開いた。ミラは体が傾くのを感じ、気が付いた時には車の外に放り出されていた。湿った地面の上に放り出され、ハッとヘドウィグとノクチュアの鳥籠を見ると、運よく籠の扉は開いており、二羽は怒ったような声を出しながら、振り返りもせずに城を目指して飛んでいった。
「戻ってくれ!父さんに殺されちゃうよ!!」
ノクチュアたちを見送っていると、ロンが折れた杖を握りしめて、傷だらけの車に向かって叫いていた。車はシューシュー湯気を上げながら、暗闇の中へ消え去って行ってしまった。
ミラは体を起こすと、自分たちの荷物はあちこちに飛ばされているのが目に入った。ハリーを助け起こしたミラは、しょんぼりしながらスキャバーズの籠を拾っているロンに近寄った。
「僕たちって信じられないくらいついてないぜ」
「生きてるだけマシだよ…木にぶつかったのは、案外幸運だったかもよ」
「幸運?!見て、僕の杖!」
ロンは再度折れた杖をミラに見せた。
「…首の骨が折れてなくてよかったよ…」
気まずそうにミラはロンの杖から顔を背けると、自分のトランクを取りにさっさと離れた。
「…行こう、二人とも…学校に行ったほうがいい」
ハリーとロンはあちこちに怪我をしていた。ミラは二人ほど怪我や傷は少なかったが、痛さと寒さを感じながら、三人は城の正面のがっしりした樫の扉を目指した。
「もう新学期の歓迎会ははじまってると思うな」と、扉の前の石段下で、トランクを下ろしたロンがそう言いながら、こっそり横のほうに移動して、明かるく輝く窓を覗き込んだ。
「あっ、ハリー、ミラ、来て。見てごらんよ----組分け帽子だ!」
ミラとハリーもロンに駆け寄り、三人で大広間を覗き込んだ。