第24章 車通学
「嘘、だろ…」
ロンの声が、静寂の中でやけに鮮明に聞こえた。
車は鼻先から突っ込み、スピードを上げて城の硬い壁に真っ直ぐ向かって落っこちて行った。
「うわあああああ!!!!」
と、ロンが叫びながらハンドルを左右に揺すった。車はなんとか硬い壁には激突せず、あと数センチのところで避けることができた。ミラは両脇にヘドウィグとノクチュアを抱えて、浮きそうになる体に力を入れながら、落ちていく光景をこわばった顔で見ていた。
「止まれ!止まれっ!!」
ハンドルを完全に離したロンは、自身の杖を取り出して、いろんな所を叩き出したが、車は止まる気配がしない。車は下落し続け、いよいよ芝生が近付いてきた。
「あの木に気を付けろっ!」
ハリーが慌ててハンドルに飛び付こうとしたが、思ったよりも下落している車のスピード早く、遅すぎたのだった。
ガッシャーン。
金属と木が酷いぶつかり方をした音が、静かな夜の中響き渡った。車は太い木の幹に衝突したのち、地面に落ちて激しく揺れた。