第24章 車通学
あっという間に建物の上まで上昇した車から、ミラはワクワクしながら周りを見た。遠く、そして小さくなっていく人間や車、遠くの建物まで見渡せる高さまで来ると、ロンドン全体が見渡せた。
その時、ポンと音がすると、車も中にいた三人の姿も現れた。
「ヤバイぞ…こいつイカれたやがる!」
ハリーとロンが、先ほど押した透明ブースターのボタンをドンドンと叩くと、また車は姿を消した----が、また姿が見えるようにポワーッと現れた。
「捕まって!」と、ロンが叫ぶと、ミラはフクロウたちの籠をしっかり両手で掴んだ。ロンはアクセルを強く踏んで、近くに雲に突っ込んだ。景色は霧だらけで、何も見えなくなった。
「これじゃあどこに列車があるか見えないよ」
「わかってる!でもどっちの方向に進めばいいかわからないんだ!」
「もう一回だけ下に降りよう」
また雲の下に降りると、三人は目を凝らして地上に走る列車を探した。
「見つけた、ここから真っ直ぐの前方の方!」
ハリーが叫ぶと、ロンはすぐに進路を変えた。ホグワーツ特急は赤い蛇のようにくねくねと地上を走っていた。
「進路は北だ----これから三十分ごとにチェックすれば大丈夫だと思う」
そう言うと、ロンは車をまた雲の中に戻した。空にそこから上昇して、車は雲より高いところへ出た。その景色は今まで見たどの景色よりも広大で、白いふわふわの雲の上を走る車、眩しい白熱の太陽の下に、どこまでも広がる青い空----なんて自由なんだろうと、ミラたちは感嘆の声を漏らした。
「あとは飛行機だけ気にしてたらいいな」
三人は顔を見合わすと、たちまち笑いが止まらず、しばらくの間車の中は騒がしくなった。目の前に広がる光景が、まるで夢のようだったせいかもしれない。
「フレッドとジョージが見たら、きっと羨ましがるね」
「違いない。早く二人の驚く顔を見てやりたいよ」
「ハーマイオニーはどうかな?怒るに今週のスネイプの課題を賭ける」
「それなら僕は一年分賭けれるね」
「怒ってるの確定じゃないか!」
「じゃあ僕は来年の分も賭けようかな」
「ハリー!」
三人はまたおかしくて笑い出し、早くホグワーツに着かないかと胸を躍らせた。