第24章 車通学
ミラは『9と3/4番線』に繋がる壁をペタペタと触ったが、すり抜ける気配はない。
「行っちゃったよ----父さんと母さんもこっちに戻って来れなかったらどうしよう…」
ロンが顔を青くして言った。
「…二人が帰って来るまで、どれくらいかかるか…」
三人は周りを見回した。まだ三人のことを見ている人たちがいるのに気付くと、ヘドウィグがまだ怒って騒いでいるのが原因だとわかった。
「とりあえず、ここを出よう。車のそばで待とう」
「うん、ここ人目に付くし…警察なんか呼ばれたら面倒だ」
「それだよ!ハリー!!車だよ!!!」
ロンが目を輝かせて叫んだ。なんのことだと、ハリーとミラは首を傾げた。
「あの車なら、ホグワーツまでひとっとびだ!」
「それだ!」
ミラも目を輝かせてロンに賛成した。
「でも、それは----」と、ハリーの心は揺れ動いていた。
「僕たち困ってるだろ?それに、学校にも行かなくちゃいけない。それなら、半人前の魔法使いでも、本当に緊急事態でも魔法を使ってもいいんだよ。なんとかの制限に関する第一九条とかなんとか----」
「…車、飛ばせるの?」
パニックを起こしていたハリーの心は、興奮に変わっていった。
「任せとけって」
と、ロンはカートを押し始めた。
「行こう、ハリー!空の大冒険だ!!」
「冒険じゃなくて、通学だから!」
ミラはワクワクが止まらない様子でロンについていき、ハリーもその後を追いかけた。
「今ならまだ、ホグワーツ特急に間に合うかもしれない」
三人は大急ぎで来た道を戻り、駅の外の脇道に止めてあったフォード・アングリアを、ロンが杖で叩くと扉が空いた。荷物入れはまだアーサーの呪文が残っており、三つのトランクを入れ、運転席にはロン。助手席にハリー。そして後ろの席はミラと二匹の梟が乗った。
「誰も見てないかどうか、確かめて」
ロンがそういうと、ミラとハリーは車から当たりを見回した。
「オッケー」
「こっちも大丈夫」
「行くよ!」
ロンは計器盤の小さな銀色のボタンを押すと、車も、そして中に乗っている三人の姿も一瞬で消えてしまった。