第23章 秘密の交換日記
『この『日記』は悩み事相談日記なの?』
『いいえ、これは僕の記憶をインクより長持ちする方法で記録したものです。僕はこの『日記』を読んで欲しくない人たちから守る為に作りました』
『私みたいな勝手に日記を覗く人から、とか?』
『そうとも言えます。でも、あなたはジニーを思ってこの『日記』を調べたのだと、僕は信じています』
ミラは羽ペンから手を離した。窓の外を見ると、薄らと朝の日差しが入り込もうとしていた。変な日記だが、魔法界には不思議なものが多い。これをジニーに黙ってアーサーやモリーに渡すのも気が引ける気がして、ミラはもう一度日記に目を戻した。
そこには違う文字が書かれていて、ミラは慌てて消える前に読んだ。
『もしあなたも何か相談事があれば、僕は喜んで相談に乗ります』
『勉強のことも聞いていいの?』
『なんでも。僕は勉学には自信があります』
『わかった----考えてみる』
そこでミラは日記を閉じた。元の場所に戻し、羽ペンも置かれていた場所にしっかり戻すと、すっかり目が覚めた頭で、ミラはキッチンへ降りることにした。
少しワクワクしながら、ミラは空のケトルに水を入れ、火をつけた。
(あとでジニーを問い詰めてやろう)