第23章 秘密の交換日記
「それに、この羽ペンのおかげで宿題も捗るよ。ありがとう、ミラ」
ハリーは得意げに新しい羽根ペンを見て言った。ハリーの羽根ペンは特に魔法が施してあるものではないが、羽の色は薄茶色で、どこにも羽の乱れはなく、綺麗に揃っている。ただし、普通の羽根ペンよりペンの先がしっかりとしていて、先が潰れにくくなっている。
「喜んでもらえてよかった」
「前のは先が少し潰れてたから、絶対スネイプに文句を言われてたよ」
「違いない」
今年の魔法薬学はどうなるのだろうと、二人はロンの部屋にある窓から、遠くを見て思った。去年から担当であるスネイプ先生の、グリフィンドール生への嫌がらせ、特にハリーは訳もわからないまま目をつけられている。
ハリーとつるんでいるミラも、もちろんスネイプ先生に目をつけられている。減点を一切気にもせず、反抗的な態度を見せつつも大人しく従った振りをする。そして何より、スネイプ先生も理解できないのは、魔法薬を作る時にペアになるのが、自身が担当であるスリザリン寮生のドラコである。
けしてお互いが好んで組んでいるのではない。スネイプ先生は特にドラコを可愛がっているのが、隣で観ていてよくわかった。ドラコと組む理由はただ一つ、ドラコは魔法界への情報が、他の生徒よりも持っていると確信しているからだ。
そしてドラコもミラからハリーへの嫌がらせになる情報はないかと、聞き出していることもわかっている。
去年はスネイプ先生が何故あそこまでハリーを毛嫌いしているのか、その情報を掴むために近付いたはずが、色々なことがあったとはいえ、ドラコが実は悪いやつではないと思い始めていた。
そう思っていた矢先、先日の本屋での出来事で、また一段と嫌な奴に戻ったと思った。その態度は、親であるルシウスを生き写しのようだった。ロンの家族を馬鹿にされ、カッとなって首元を掴んで本棚に押し付けて喧嘩まで起こした。
きっとルシウスは、息子のドラコにミラとは関わるなと言われたに違いない。きっと今年の魔法薬学のペアはないだろうとミラはこっそり思った。
(せっかくスネイプ避けができると思ったのに)
残念だと、ため息を吐いた。