第23章 秘密の交換日記
ミラとハリーにとって、隠れ穴は最高の思い出の場所になった。もちろんホグワーツに戻る日も、楽しみにはしていたけれど。それでも、この1ヶ月は二人にとって、あまりにも幸せな時間だった。
来年は帰ったらダードリー一家や院長に、どんな歓迎ぶりを受けるか、二人はロンが妬ましいような、羨ましいと思った。
残りの一ヶ月は、ミラはハリーとロンの宿題を手伝ったりした。ハーマイオニーほどではないが、要点さえ抑えれれば大丈夫だろうと、二人に説明して教えた。
変身術の宿題に差し掛かると、他の物と比べて羊皮紙にビッシリと字が敷き詰められているのを見た時は、ロンが悲鳴を上げた。
「変身術だけ異常だよ…まるでハーマイオニーみたいだ」
「それは褒め言葉として受け取っておくよ」
ヒヒヒ、と怪しく笑ってみせたミラに、ロンは呆れてため息をついた。
「君といい、ハーマイオニーといい、どうかしてるよ」
「別にロンに宿題を見せなくてもいいんだけど」
「嘘!嘘に決まってるよ!わ、わぁ、ワカリヤスイナァ」
「分かればよろしい」
フン、と鼻を鳴らしたミラは、慌てているロンを見て不敵に笑った。
「本当に助かるよ、ミラ。君がいなかったら僕たちだけじゃ終わらなかったかも」
ハリーは素直にミラに感謝の気持ちを述べると、ミラは少しだけ申し訳なさそうな、少し切ないような微笑みを浮かべた。
「これぐらいしかできないから…」
ダーズリー家で何が起こっても、自分じゃ助けに行けないことをミラは理解していた。更に今年は監禁までされ、全く手が出せなかった。未成年の魔法使いが、魔法を使うことを禁止にされていなかったらよかったのにと、ミラは今回のことでよくわかった。
自分ができることは、こうして宿題を手伝うことしかできない。そして一日でもこの楽しい夏休みを一緒に謳歌すること。
「早く終わらせて、クィディッチの続きをしよう!」
「そうだね!」