第22章 予期せぬ再開
ミラはすぐに誰の声かわかった。ルシウス・マルフォイが、ドラコがよく見せる薄ら笑いを浮かべて現れた。しかし、自分の息子がミラに首元を締め上げられていて、不快な目でミラを見下ろした。
「見た目と違って随分粗暴なお嬢さんみたいだ、親の顔が見てみたい」
「…少なくとも、あなたのような人じゃないと思いますけど」
ミラはドラコから離れると、腕を組んでルシウスを睨みあげた。子生意気に見えたのか、ルシウスは眉間に皺を寄せた。ドラコは首元の服を正しながら、ルシウスの横に立った。
「何も知らない子供が…」
「ルシウス」
アーサーがミラの前に割り込んで、ルシウスから遮った。
「子供の喧嘩に、私たち大人が首を突っ込むものではない」
「そうですかな?…それより、お役所はお忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を----残業代は当然払ってもらっているのでしょうな?」
ルシウスは、ジニーの大鍋からロックハートの本で埋もれた中から、一冊の使い古された、擦り切れた本を引っ張り出した。
「どうも、そうではないらしい---なんと、役所が満足に給料も支払わないのでは、わざわざ魔法使いの面汚しになる甲斐がないですな?」
アーサーの顔は、ロンやジニーよりも真っ赤になった。
「マルフォイ、魔法使いの面汚しがどういう意味かについて、私たちは意見が違うようだが」
「さようですな」
と、言ったルシウスの薄青色の目が、心配そうに成り行きを見ているグレンジャー夫妻のほうに映った。
「ウィーズリー、こんな連中と付き合ってるようでは----君の家族はもう落ちるところまで落ちたと思ってはいたが----」
その時、アーサーがルシウスに飛びかかり、その背中を本棚に叩きつけた。その拍子に、棚に並べてあった分厚い呪文の本がみんなの頭の上にドサドサと降りかかった。ミラは咄嗟にジニーに覆い被さり、分厚い本から守った。
「やっちまえ、父さん!」
フレッドとジョージのどちらかの叫ぶ声が聞こえた。モリーの「やめて!」と悲鳴の声も聞こえた。店員の叫ぶ声も、人々のどよめきの声も、書店は大混乱だった。
「やめんか、おっさんども!」
そこへ、本と人の山をかき分けてハグリッドがやってきた。