第22章 予期せぬ再開
ドタン、と大きな音を立ててカメラマンは後ろにひっくり返った。ミラはニヤッと笑ってロンを見ると、ロンも吹き出さないように口元に手を当てて、そっぽを向いた。
「誰だ!足をかけたのは!!」
顔を真っ赤にして怒っているカメラマンが叫ぶと、周りの視線はロックハートからカメラマンに移った。ロックハートも顔を上げてカメラマンを見た。そしてロン、ミラを見て、ハリーを見た。
「もしや、ハリー・ポッターでは?」
と、ロックハートは立ち上がって叫んだ。周りの声が興奮した囁き声が上がり、ハリーの前に道が割れてできた。もう転けたカメラマンを気にする人は誰一人としていなかった。その人垣の列をロックハートが飛び込み、ハリーの腕を掴んで連れて行ってしまった。
「ハリー!」
ミラは咄嗟にハリーの手を取ろうとしたが一歩間に合わず、ハリーは空いていた道はまた人垣で塞がり、拍手が巻き起こった。
輝くような白い歯を見せながら、笑顔のロックハートと握手をしているハリーは、ぎこちなく、フラッシュを焚きまくるカメラマンを眩しそうにしていた。
やっと解放してもらったと、ハリーが人垣の中に戻ろうとすると、ロックハートはがっちりハリーの肩に腕を回して捕まえた。
「みなさん」
声を張り上げたロックハートが、静粛にと手で合図をした。
「なんと記念すべき瞬間でしょう! 私がここしばらく伏せていたことを発表するのに、これほど相応しい瞬間はまたとはないでしょう!」
ロックハートはハリーに無料で自伝の本を何冊もハリーの腕に乗せた。ますます演説に熱が入ったのか、ハリーの肩を揺すったせいで、メガネが鼻の下までずり下がっていた。
「みなさん、ここに、大いなる喜びと、誇りを持って発表いたします。この九月から、私はホグワーツ魔法魔術学校にて、『闇の魔法に対する防衛術』担当教授職をお引き受けすることになりました!」
書店内は大勢の人の拍手で満たされ、ハリーはギルデロイ・ロックハートの全著書をプレゼントされていた。重みでよろけながら、ハリーはなんとかスポットライトの当たる場所から抜け出し、部屋の隅に逃れることに成功したのをミラは目で追った。